2020年4月1日施行の民法の一部を改正する法律について
今回は賃貸借契約についてみていきます。
賃貸借とは、当事者の一方(賃貸人)がある物を相手方(賃借人)に使用・収益させ借主が賃料を支払うことを約束する契約です。アパートや店舗、駐車場、自動車など賃料を支払って借りる契約です。
賃貸借契約に関するルールについての改正のポイント
賃貸借の期間が最長50年に
改正前の民法では賃貸借の期間は、20年を超えることができないとされていました。これまでも借地借家法においては建物賃貸借の期間の上限はありませんでしたし、建物所有を目的とする土地の賃貸借においても、30年とするがこれより長い期間を定めることもできました。
賃貸不動産が譲渡された場合の賃貸人の地位の移転
土地や建物の賃貸が継続中にその所有者が変わった場合、その後は誰が賃貸人になるのか、新しい所有者は賃料の請求ができるのかは改正前の民法には規定が設けられていませんでした。
改正後は、賃貸借の対抗要件を備えていた場合に、賃借物である不動産が譲渡されたときは、賃貸人としての地位は原則的に譲受人(新な所有者)に移転するという規定を設けました。しかし、譲渡人と譲受人の間で、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する合意をしたときは、賃貸人の地位は譲渡人のままになります。また不動産の譲受人が賃借人に賃料を請求するためには、所有権移転登記をしなければならない旨の規定が設けられました。譲受人が登記を備えるまでは賃借人は譲渡人に賃料を支払うことができますし、賃料を供託することもできます。
賃貸借継続中の修繕...賃貸人の義務と賃借人の権利
賃借物に修繕が必要な場合であっても賃借物は賃貸人の物であり、賃料を得て貸す以上、賃貸人に修繕義務があり、賃借人が勝手に手を加えることはできませんでした。しかし建物が雨漏りする場合など、賃貸人が修繕してくれないと賃借人にとって不便ですから、賃借人が修繕することができる場合の規定を設けました。改正後は①賃借人が賃貸人に修繕が必要な旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、相当の期間内に修繕をしないとき②急迫の事情があるときには賃貸人が賃貸の目的物を修繕できることとされました。また改正前は賃借人の責任で修繕が必要になった場合の規定が定められていませんでしたが、改正後は賃借人の責任で修繕が必要になった場合賃貸人に修繕義務がない旨の規定を設けました。
賃貸借終了後のルール
賃借人の原状回復義務
原状回復とは、賃貸借が終了した際に賃借人が賃借物をもとの状態に戻して賃貸人に返却することを言います。この原状回復義務の範囲について改正前の民法では明文化されていなかったものを、改正後は賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと、しかし、通常損耗や経年劣化については原状回復義務を負わない旨と、賃借人の責めに帰すことができない事由による場合も原状回復義務を負わない旨が明文化されました。
敷金に関するルールの明確化
敷金とは、賃借人の賃料債務などを担保するために賃借人が賃貸人に交付する金銭のことです。改正前の民法には敷金の定義や、敷金返還請求権の発生時期についての規定はありませんでした。
改正後の民法では「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。そして賃貸借が終了して、賃貸人が賃貸物の返還を受けたときに敷金返還債務が生じること。賃貸人は敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した額を賃借人に返還しなければならないことが明文化されました。
改正法施行後に契約を更新したら?
原則として施行日より前に締結された契約については改正前の民法が適用され、施行日より後に締結された契約については改正後の民法が適用されます。
施行日前に締結した契約を2020年4月1日以降に当事者が合意により更新したときは、施行後に新たに契約を締結したのと同様に改正後の民法が適用になります。また、当事者のいずれも異議を述べないない限り自動的に契約が更新旨の特約がある自動更新の場合も改正後の民法が適用されます。